目の記念日と健康イベントの歳時記

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町家の窓辺の机に置かれた眼鏡と湯のみ、色づいた紅葉の葉

日本には、目の健康を考えるきっかけになる記念日や啓発週間がいくつかあります。10月10日の「目の愛護デー」はその代表で、秋になるとテレビや自治体の広報で名前を見かける方も多いはずです。ほかにも世界視力デーや世界緑内障週間、世界糖尿病デーといった国際的な啓発の日があり、どれも「一度、自分の目を見直してみませんか」という呼びかけになっています。

このページでは、そうした記念日に加えて、春の花粉や夏の紫外線のように季節ごとに気をつけたい目の話題を、月ごとの歳時記として並べました。カレンダーの横に置いて、家族の目の検査や眼鏡の見直しを思い出す手がかりにしていただければと思います。後半では、地域で開かれる健康講座やイベントとの上手な付き合い方も書いています。

記念日や啓発週間は何のためにあるのか

目の病気の多くは、初めのうちは自覚症状がほとんどありません。たとえば緑内障は、日本緑内障学会が行った多治見スタディで40歳以上の約5%にみられ、そのうち約9割の人は自分が緑内障だと気づいていなかったと報告されています。見え方に困っていないうちは、わざわざ眼科へ行こうとは思いにくいものです。

記念日は、その「困っていないから後回し」を一度止めるための目印です。ニュースやポスターで目にした日に、次のようなことを思い出してもらえれば十分に意味があります。

  • しばらく目の検査を受けていない家族がいないか
  • 眼鏡やコンタクトレンズの度数が、今の暮らしに合っているか
  • 糖尿病などの持病があり、眼底検査を勧められたままになっていないか
  • 片目ずつ隠して見たとき、左右で見え方に差がないか

もうひとつの役割が、献眼とアイバンクについての啓発です。亡くなったあとに角膜を提供する献眼は、角膜の病気で視力が下がった人の角膜移植に役立てられます。献眼の登録や意思表示のしかたは、日本アイバンク協会のサイトで案内されています。本人の意思を家族が知っておくことも、献眼を実際に役立てるうえで欠かせません。目の記念日は、そうした話を家族で切り出すのにもちょうどよい機会です。

目の歳時記:月ごとの記念日と季節の話題

まずは一年を表で見渡してみます。くわしい話は、表のあとに季節ごとに書いています。

月 記念日・季節の話題 見直したいこと
1月 冬の乾燥、暖房 部屋の湿度と休憩、今年の検査の予定
2月 乾燥が続く、花粉の飛び始め かゆみが毎年つらい人は早めに相談
3月 世界緑内障週間、花粉の多い時期 40歳を過ぎたら眼科で検査を
4月 新学期、学校の健康診断 子どもの視力検査の結果を確認
5月 日ざしが強くなる 帽子やサングラスの準備
6月 梅雨、高い湿度 コンタクトレンズとケースの衛生
7月 夏の紫外線、水泳の季節 ゴーグル、タオルを共用しない
8月 夏休み、外遊び、花火 屋外で過ごす時間、花火の扱い方
9月 秋の夜長、読書 手元の見え方と目の疲れ
10月 10日は目の愛護デー、第2木曜日は世界視力デー 家族そろって目のことを話題に
11月 14日は世界糖尿病デー 糖尿病のある人は眼底検査を
12月 乾燥、年末年始の休み 休みの前に目薬やレンズの予備を確認

冬から早春(1月〜2月)

暖房の効いた部屋は空気が乾き、目の表面の涙も蒸発しやすくなります。画面を見つめているとまばたきが減るため、乾いた部屋での長い作業は、目の乾きや疲れにつながりがちです。加湿器や濡れタオルで湿度を保つ、エアコンの風が顔に直接当たらない位置に座る、ときどき窓の外の遠くを眺める。どれも小さなことですが、続けると違いが出ます。画面とまばたきの関係は、コラムドライアイと画面の時間でくわしく書きました。

新しい手帳を開いたら、家族の目の検査や眼鏡の買い替えの時期を書き込んでおくのもひとつの方法です。

2月に入ると、年によっては花粉が飛び始めます。目のかゆみが毎年つらい人は、症状が強くなる前に眼科で相談しておくと、その年の対策を立てやすくなります。

春(3月〜5月)

毎年3月には世界緑内障週間があり、世界各地で緑内障の早期発見を呼びかける取り組みが行われます。緑内障は見える範囲が少しずつ欠けていく病気ですが、両目で見ていると欠けた部分をもう片方の目が補ってしまうため、気づきにくいのが特徴です。40歳を過ぎたら、症状がなくても一度は眼科で眼圧や眼底の検査を受けておくと安心です。コラム緑内障:自覚症状のないまま進む病気と40歳からの検査もあわせてどうぞ。

3月から4月は花粉の多い時期でもあります。スギに続いてヒノキの花粉が飛ぶ地域では、春の間ずっとかゆみが続く人もいます。外から帰ったら顔を洗う、目をこすらないといった基本は花粉の季節の目のかゆみにまとめました。かゆみだけでなく、強い充血や目やに、痛みがあるときは、花粉症だと決めつけずに眼科で診てもらってください。

4月は新学期です。学校の健康診断で視力検査があり、受診を勧めるお知らせを持ち帰ってくる子もいます。子どもは見えにくさを自分から言わないことが多く、黒板の字がぼやけたまま過ごしていることもあるので、お知らせを受け取ったら早めに眼科へ。弱視は子どものおよそ50人に1人(約2%)とされ、視力の発達は6〜8歳ごろまでがとくに大事な時期です。小さな子どもについては3歳児健診の目の検査も役に立ちます。

5月になると日ざしがぐっと強くなります。真夏になってから慌てないよう、つばの広い帽子やサングラスはこのころから用意しておくとよいでしょう。

梅雨から夏(6月〜8月)

梅雨どきは湿度が高く、レンズケースの中も雑菌が増えやすくなります。コンタクトレンズは高度管理医療機器にあたり、こすり洗い、レンズケースの定期的な交換、水道水を使わないこと、決められた装用時間を守ることが基本です。汗ばんだ手でレンズを扱わないよう、手洗いもいつもよりていねいに。手順はコラムコンタクトレンズのトラブルを防ぐ毎日のケアで紹介しています。レンズを外しても痛みや充血が引かないときは、装用をやめて眼科を受診してください。

7月、京都の夏は照り返しの強い道を歩くだけでも、目は多くの紫外線を浴びます。帽子とサングラスの組み合わせ方は京都の夏と紫外線を見てください。プールの季節には、ゴーグルを使うこと、タオルを家族や友だちと共用しないことも心がけたいところです。夏はウイルス性の結膜炎が広がりやすい季節ともいわれます。目やにや充血が出たら、早めに眼科で診てもらいましょう。

8月の夏休みは、子どもが外で過ごす時間を増やしやすい時期です。屋外で1日2時間程度過ごすことが、子どもの近視の発症予防に役立つという報告が多いとされています。外遊びと近視の話は子どもの近視と外遊びに書きました。花火を楽しむときは、人や顔に向けない、筒をのぞき込まない、子どもだけで扱わせない、という約束をしておきます。火花や薬品が目に入ったときの対応は目の救急:すぐ受診したい症状と応急手当にまとめています。

秋(9月〜11月)

夜が長くなり、読書や手仕事の時間が増える季節です。手元の字がかすむ、本を読んでいると目が疲れるといった変化は、40代ごろから感じやすくなる老眼のサインかもしれません。合わない眼鏡を我慢して使い続けるより、眼科で目の状態を確かめたうえで度数を見直すほうが、ずっと楽に読めることがあります。疲れ目だと思っていたら別の病気が隠れていた、ということもあるので、自己判断で済ませないでください。眼鏡の選び方は老眼鏡と遠近両用、どう選ぶ?が参考になります。

10月10日は「目の愛護デー」です。「10 10」を横に倒すと眉と目の形に見えることから、この日になったとよくいわれます。同じ10月の第2木曜日は世界視力デーで、世界中で失明や視覚障害の予防について考える日とされています。年に一度、家族の目のことを話題にする日と決めておけば、検査の受け忘れも防ぎやすくなります。

11月14日は世界糖尿病デーです。糖尿病は目の網膜にも影響し、糖尿病網膜症は日本の中途失明の主な原因のひとつに数えられています。糖尿病のある人は、見え方に変化がなくても定期的に眼底検査を受けることが勧められています。内科の主治医から眼科の受診を勧められている方は、この日を予約の目安にしてみてはどうでしょう。理由はコラム糖尿病と目で説明しています。

年の瀬(12月)

ふたたび空気が乾く季節です。年末年始は休みになる眼科が多いため、処方されている目薬の残り、コンタクトレンズの予備、眼鏡の状態を休みに入る前に確かめておくと安心です。休み中に目のトラブルが起きたときの考え方は連休・年末年始に目のトラブルが起きたらに書きました。京都府内では、受診するか迷ったときに救急安心センターきょうと(#7119)へ電話で相談できます。

健康講座やイベントを上手に活用するには

記念日の前後には、自治体や医療・福祉の団体、企業などが、目の健康をテーマにした講演会や相談会、展示を開くことがあります。専門家の話を直接聞ける機会は貴重ですが、なかには目的がはっきりしない催しもあります。参加する前と後に、次の点を意識しておくと安心です。

参加する前に確かめたいこと

  • 主催者はだれか。自治体や公的機関、医療系の学会や団体なのか、企業の宣伝なのかを案内で確かめる
  • 何のための催しか。病気の知識を広めるものか、特定の商品やサービスの紹介が中心なのか
  • 費用、持ち物、申し込み方法が案内にはっきり書かれているか

自治体の催しは、市区町村の広報紙や公式サイトで告知されるのが一般的です。チラシやネット広告だけを頼りにせず、主催者の名前で調べてみると、どんな団体なのかが見えてきます。

商品の販売が目的の催しに注意

「無料の健康講座」「目によい話が聞ける」とうたって人を集め、会場でサプリメントや器具、高額な商品の購入を勧める催しもあります。その場の雰囲気にのまれて契約する前に、いったん持ち帰って家族に相談しましょう。目の病気が「これで治る」と言い切る説明は、とくに慎重に受け止めてください。困ったときは、お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン188)に相談できます。

聞いた話を自分に当てはめる前に

講演で語られるのは、多くの人に当てはまる一般的な内容です。同じ病名でも、進み方や治療の選び方は一人ひとり違います。「この運動が目に効くらしい」「この目薬は続けないほうがいいと聞いた」と思っても、自分の判断で治療をやめたり変えたりせず、まず主治医に相談してください。聞いた内容をメモしておき、次の受診で「こういう話を聞いたのですが、私の場合はどうですか」と尋ねると、話が早く進みます。

記念日を待たずに受診したいとき

記念日は、あくまできっかけです。次のような症状があるときは、日にちを待たず、その日のうちに眼科を受診してください。

  • 急に見えにくくなった、見える範囲の一部が欠けた、カーテンがかかったように見える
  • 光が走るように見える、黒い点や虫のようなものが急に増えた
  • 強い目の痛みやかすみに、頭痛や吐き気をともなう
  • 薬品が目に入った(こすらずにすぐ大量の流水で15分以上洗い、そのまま受診する)

命に関わるような緊急時は、迷わず119番に電話してください。ふだん通う眼科がまだない方は、眼科の探し方と受診ガイドで探し方を確かめておくと、いざというときに慌てずに済みます。