
最近、字がにじんで見える。子どもが黒板を見るときに目を細めている。眼鏡を新しくしたのに、どうもしっくりこない。目の悩みは、どこに持って行けばよいのかがわかりにくいものです。
相談できる場所は意外に多く、それぞれに得意なことがあります。ただ、どこでも同じ答えが返ってくるわけではありません。このページでは、相談先ごとに何ができて何ができないのかを順に見ていきます。最初に覚えておきたいのは一つだけで、目の病気の診断と治療ができるのは医師だけだということです。
かかりつけの眼科
見え方の変化や目の不快感があるとき、最初に向かう先は眼科です。眼科では、医師が視力や眼圧、眼底などの検査の結果をもとに、病気かどうかを判断し、必要な治療を決めます。眼鏡やコンタクトレンズの処方も、ここでできることの一つです。
決まった眼科、つまりかかりつけを持っておくと、前回の検査結果と比べながら変化を見てもらえます。緑内障や糖尿病網膜症のように、長い期間をかけて経過を見ていく病気では、この「比べられる」ことが大きな意味を持ちます。相談するときは、いつから、どちらの目に、どんな見え方の変化があるのかに加えて、使っている眼鏡やコンタクトレンズ、飲んでいる薬をメモしておくと、話が早く進みます。
一方で、眼科の受付時間には限りがあり、夜間や休日は閉まっていることがほとんどです。急ぐ症状が時間外に起きたときの考え方は、このページの後半と目の救急で紹介しています。近くの眼科の探し方や、初めて受診するときの準備は眼科の探し方と受診ガイドにまとめました。
子どもの目のこと
小さな子どもの目のことは、まずお住まいの自治体の乳幼児健診や、保健センターの保健師に相談できます。健診の結果の見方、気になる様子があるときにどこを受診すればよいか、といったことを一緒に考えてもらえます。テレビに近づいて見る、目を細める、片目をつぶって見る、首をかしげて見る、といった家庭での様子は、気づいた日付と一緒にメモしておくと、相談のときに伝えやすくなります。
学校に通う年齢になれば、保健室の養護教諭も身近な相談相手です。視力検査の結果の意味を聞いたり、黒板が見えにくいときに席の位置を配慮してもらったりと、学校生活に関わることを相談しやすいのが強みです。
ただし、保健師も養護教諭も、目の病気の診断や治療はしません。健診や学校で受診を勧められたら、それは眼科で調べてほしいというサインです。用紙を持って眼科を受診してください。
働く人、家族のこと
職場の健康診断で目の所見を指摘された、画面作業が続いて目がつらい、といった悩みは、職場によっては産業医や保健師などの産業保健の担当者に相談できます。作業の環境や休憩の取り方を見直すきっかけになりますが、目の状態を調べて治療を決めるのは、やはり眼科です。
高齢の親の見え方が気になるときは、家族が一緒に眼科へ行くだけでも、本人の話を補ったり、医師の説明を聞き漏らさずに済んだりします。聞きたいことは事前に紙に書いておくと安心です。見えにくさが暮らしや介護の困りごとにつながっているなら、お住まいの市町村の高齢者向けの相談窓口も頼れます。
眼鏡店でできること、できないこと
眼鏡店では、度数の測定、フレーム選び、顔に合わせるフィッティングや調整、修理などを頼めます。かけ心地や見え方の細かな好みを伝えながら仕上げていけるのは、眼鏡店ならではです。眼科で眼鏡の処方箋を出してもらい、それを持って眼鏡店で作るという流れもあります。
けれども、眼鏡店は病気の診断はできません。見えにくさの原因が目の病気にあるとき、度数を変えても見え方はよくなりません。次のような場合は、眼鏡店に行く前に眼科を受診してください。
- 初めて眼鏡を作る、または久しぶりに作り直す
- 急に見えにくくなった、片目だけ見え方が違う
- ゆがんで見える、視野の一部が見えにくい
- 子どもの眼鏡を作る
子どもは目のピントを合わせる力が強く、正確な度数を知るために、眼科で目薬を使った検査が必要になることがあります。コンタクトレンズは高度管理医療機器で、目の状態を確かめたうえで使うものです。こちらも眼科での検査を受けてから選んでください。
視能訓練士という専門職
眼科で視力や視野の検査をしてくれる人が、医師ではなく視能訓練士であることは珍しくありません。視能訓練士は国家資格の専門職で、医師の指示のもとで目の機能の検査を行い、斜視や弱視の子どもの訓練、見えにくさのある人の補助具選びの手伝いなどにも関わっています。
病院や眼科のほか、子どもの健診の場などで働く人もいます。検査のときに「この結果はどういう意味ですか」と気になったことは、その場で尋ねてみてください。ただし、検査結果をもとに診断をし、治療方針を決めるのは医師です。視能訓練士の仕事については、日本視能訓練士協会のサイトで紹介されています。
見えにくさが続くとき
治療を続けても見えにくさが残る、あるいは病気が進んで以前のように見えなくなった、という場合もあります。そうしたときの相談先が、ロービジョン外来や、視覚に障害のある人を支える団体です。
ロービジョン外来では、残っている見る力を生かすための拡大鏡や遮光眼鏡などの補助具、読み書きや移動の工夫、利用できる制度の情報などを相談できます。支援団体では、日常生活の訓練や、同じ悩みを持つ人との交流の場が用意されていることもあります。見えにくさがあっても暮らしを続けるための方法は、思っている以上にあります。相談の入口になるのは、いま通っている眼科の主治医です。ロービジョンの相談に応じている医療機関は限られているため、「見えにくさで暮らしに困っていることがある」と主治医に伝え、紹介や情報を求めるところから始めるとよいでしょう。くわしくは見えにくさのある方へをご覧ください。
色の見え方のこと
色の見分けにくさが気になる、子どもが色を言い間違えることが多い、進路を考えるうえで色覚のことを知っておきたい。こうした相談は、眼科で検査を受け、結果について説明を聞くのが基本です。学校で色覚の検査を案内された場合も、結果をどう受け止めるかは眼科で相談できます。色の見え方の特性は人によって違い、暮らしや仕事の中で見分けにくい場面への工夫も含めて、医師に聞いてみてください。色覚の多様性と検査については色覚のページで紹介しています。
夜間や休日に迷ったら
夜中に目が痛くなった、休日に子どもの目が真っ赤になった。そんなとき、すぐ受診すべきか、朝まで待ってよいのかを電話で相談できる窓口があります。
京都府では、救急安心センターきょうと(#7119)が2020年10月に始まり、24時間365日、看護師などが電話で受診の要否や受診できる医療機関を案内しています。IP電話などでつながらない場合は 0570-00-7119 にかけます。くわしくは京都府の#7119のページで確認できます。ここでできるのは受診するかどうかの判断の手助けと案内で、診断や治療ではありません。命に関わる緊急時は、迷わず119番に電話してください。
相談先の早見表
| 相談先 | 主にできること | できないこと・注意点 |
|---|---|---|
| 眼科(医師) | 検査、診断、治療、眼鏡やコンタクトレンズの処方 | 受付時間外は対応できないことが多い |
| 保健センター(保健師) | 乳幼児健診、健診結果や受診先の相談 | 診断や治療はしない |
| 学校の保健室(養護教諭) | 視力検査の結果の説明、学校生活での配慮の相談 | 診断や治療はしない |
| 眼鏡店 | 度数の測定、フレーム選び、フィッティング、調整 | 病気の診断はできない |
| 視能訓練士 | 医師の指示のもとでの検査、訓練、補助具選びの手伝い | 診断や治療方針は医師が決める |
| ロービジョン外来・支援団体 | 補助具、生活の工夫、制度の情報、生活訓練 | 病気そのものの治療は主治医と続ける |
| #7119 | 受診の要否や医療機関の案内 | 診断や治療ではない |
インターネットの情報との付き合い方
目の症状を検索すると、たくさんの情報が出てきます。役に立つものもありますが、読み方には少し注意が要ります。
まず、情報の出どころを見てください。誰が書いたのか、どの機関の資料にもとづいているのか、いつ書かれたのか。厚生労働省のような公的機関や、日本眼科学会のような学会が公開している一般向けの解説は、出どころがはっきりしています。
次に、商品を売ることが目的の情報には気をつけます。「これだけで視力が回復する」「目の病気が治る」とうたうサプリメントや器具、体験談ばかりが並ぶページは、根拠が示されていないことがよくあります。個人の感想は、その人に起きたことであって、あなたの目に当てはまるとは限りません。
そして、検索した病名を自分に当てはめすぎないことです。症状が似ていても原因はまったく違うことがあり、調べるほど不安だけが大きくなる、ということも起こります。このサイトの記事も含めて、インターネットの情報は受診の代わりにはなりません。調べて気になったことをメモにして受診のときに医師に尋ねるのは、もちろんかまいません。
気になることがあるなら、ひとりで抱えずに眼科で相談してください。相談先を上手に使い分けることは、目の健康を長く守ることにつながります。