目の病気の解説

最終確認

町家の座敷の低い机に、開いたノートと老眼鏡、緑茶の湯のみが並んでいる

このページは、目の病気や見え方の悩みを一覧で見渡すための入口です。項目ごとに、どんな病気か、どんなときに気づきやすいか、受診の目安を短くまとめました。多くの項目には、もう少しくわしく書いたコラムへのリンクを付けています。

治療についての記述は、一般的な考え方の紹介にとどめています。どの治療が合うかは、検査をしたうえで眼科医が判断します。気になる症状があるなら、ここで病名を当てはめるより先に、眼科で診てもらうことを優先してください。急な痛みや見え方の変化があるときは、このページより先に目の救急を開いてください。

気になる症状から探す

症状から、このページのどの項目を読めばよいかを探すための表です。同じ症状でもほかの原因によることがあり、表は診断の代わりにはなりません。受診の目安も一般的なもので、症状が強いときや急に変わったときは、より急ぐ側で考えてください。

気になること 主な項目 受診の目安
かすむ、まぶしい 白内障、ドライアイ、近視・遠視・乱視・老眼 少しずつなら数日以内に。急に起きたなら今日中に
見える範囲の一部が欠ける 緑内障、網膜剥離と飛蚊症 急に欠けたなら今すぐ。少しずつでも早めに
まっすぐな線がゆがむ、中心が暗い 加齢黄斑変性 早めに
黒い点や糸くずが急に増えた、光が走る 網膜剥離と飛蚊症 今日中に
かゆみ、充血、めやに アレルギー性結膜炎、流行性角結膜炎 数日以内に。強い充血とめやにが急に出たら早めに
乾く、ごろごろする、疲れが取れない ドライアイ、眼精疲労 続くようなら眼科へ
子どもが片目をつぶる、目の位置がずれる 斜視と弱視 早めに
手元の字が見えにくい 近視・遠視・乱視・老眼 眼鏡を作る前に一度
症状はないが糖尿病がある 糖尿病網膜症 定期的に眼底検査を

年齢とともに増える病気

白内障

目の中でレンズの役割をしている水晶体が、少しずつ濁っていく病気です。いちばん多い原因は加齢で、ほかに糖尿病、ステロイド薬の長期使用、目のけが、紫外線なども関わるとされています。かすんで見える、まぶしく感じる、明るい屋外でかえって見えにくい、眼鏡を替えてもすっきりしない、といった形で気づくことが多くなります。進み方はゆっくりで、治療は濁った水晶体を取り除いて眼内レンズを入れる手術が一般的です。手術の時期は、暮らしの中での不便さを目安に医師と相談して決めます。考え方は白内障の手術を考え始めたらにまとめています。

緑内障

目と脳をつなぐ視神経が傷み、見える範囲(視野)が少しずつ欠けていく病気です。日本緑内障学会の多治見スタディでは、40歳以上の約5%に緑内障があり、そのうち約9割は自分が緑内障だと気づいていなかったと報告されています。進行がゆっくりで、片方の目がもう片方を補うため、自覚しにくいのが特徴です。眼圧が正常の範囲でも起こることがあります。一度欠けた視野は戻らないため、早く見つけて進行を抑えることが治療の目標になり、点眼薬で眼圧を下げる治療が一般的です。40歳を過ぎたら一度は眼科で検査を、と勧められる理由は緑内障と40歳からの検査にまとめています。

加齢黄斑変性

網膜の中心にあり、ものを見るときにいちばん大切な黄斑が、加齢とともに傷む病気です。まっすぐな線がゆがむ、見たいところの中心が暗い、ぼやける、といった症状が出ますが、片目だけに起きると、もう片方の目が補ってしまいなかなか気づきません。アムスラーチャートという方眼の図を片目ずつ見る方法は、セルフチェックの目安になります(診断ではありません)。喫煙は発症のリスクを高めることが知られています。タイプによって治療の考え方が異なるので、ゆがみに気づいたら早めに眼科へ。加齢黄斑変性とアムスラーチャートでチェックのしかたを紹介しています。

糖尿病網膜症

糖尿病によって網膜の細い血管が傷み、出血やむくみが起こる病気です。日本の中途失明の原因の上位には、緑内障や網膜色素変性とともに、この病気が挙げられています。かなり進むまで自覚症状がほとんどないことが多く、見えにくくなってから気づいたときには進んでいることもあります。そのため、糖尿病のある人は症状がなくても定期的な眼底検査が勧められます。内科での血糖や血圧の管理と、眼科での経過観察を並行して続けます。糖尿病と目のコラムで、検査を続ける理由をくわしく書いています。

網膜と硝子体のトラブル

網膜剥離と飛蚊症

明るい空や白い壁を見たとき、黒い点や糸くずのようなものが浮かんで見えるのが飛蚊症です。多くは目の中のゼリー状の硝子体が年齢とともに変化して起こるもので、心配のないことも少なくありません。ただし、急に数が増えた、光が走るように見える(光視症)、視野の一部が欠ける、カーテンがかかったように見える、といった変化は網膜剥離のサインのことがあります。網膜剥離は放っておくと視力を大きく損なうおそれがあり、早めの受診が必要です。強い近視の人や目をぶつけたことのある人は、とくに気をつけてください。見分け方は飛蚊症と網膜剥離にあります。

目の表面の病気

ドライアイ

涙の量が減ったり、涙の質が変わったりして、目の表面が乾きやすくなる状態です。乾く、ごろごろする、疲れる、かすむといった症状のほか、逆に涙がよく出ることもあります。画面を見続けるとまばたきが減ること、エアコンの効いた部屋、コンタクトレンズ、加齢などが関わります。暮らしの工夫で楽になることもありますが、点眼薬などの治療が必要かどうかは医師が判断します。症状が長く続くときは眼科へ。工夫のヒントはドライアイと画面の時間に書いています。

アレルギー性結膜炎

花粉やハウスダスト、ダニなどに目が反応して、かゆみ、充血、涙、めやにが出る病気です。スギやヒノキの季節に限って症状が出る人もいれば、一年を通して症状が続く人もいます。かゆいからとこすると、症状がかえって悪くなりがちです。かゆみを抑える点眼薬などで症状を和らげる治療が一般的で、どの薬をどう使うかは医師が決めます。コンタクトレンズを使っている人は、季節の前に一度相談しておくと安心です。花粉の季節の目のかゆみもどうぞ。

流行性角結膜炎(はやり目)

アデノウイルスによる結膜炎で、強い充血、めやに、涙、まぶたの腫れが出ます。耳の前のリンパ節が腫れることもあります。感染力がとても強く、目を触った手やタオルを通じて家族にうつりやすいため、タオルを分ける、こまめに手を洗うといった対策が欠かせません。学校では、医師が感染のおそれがないと認めるまで出席停止となる病気の一つです。ウイルスに直接効く目薬は一般にはなく、症状を和らげながら治るのを待つことが多いとされています。疑わしいときは、職場や学校に行く前に眼科を受診してください。

子どもの目

斜視と弱視

斜視は、左右の目の視線がそろわず、片方の目が内側や外側などにずれている状態です。弱視は、眼鏡をかけても視力が十分に出ない状態をいい、子どものおよそ50人に1人(約2%)とされます。視力の発達は6〜8歳ごろまでがとくに大切で、強い遠視や乱視、左右の度数の差、斜視などがあると、見る力が育ちにくくなります。治療としては、眼鏡をかけることや、よく見える方の目を一時的に隠す訓練などが行われます。片目をつぶって見る、首をかしげて見る、極端に近づいて見るといった様子があれば眼科へ。3歳児健診の目の検査と、目の健康診断ガイドも参考になります。

見え方と目の疲れ

眼精疲労

ひと晩休んでも回復しにくい目の疲れに、頭痛、肩こり、吐き気などが重なる状態を眼精疲労と呼びます。原因は一つとは限らず、度の合わない眼鏡、ドライアイ、長時間の画面作業、老眼の始まりなどが重なっていることがよくあります。ほかの目の病気が隠れている場合もあるので、疲れ目だと思い込まずに原因を探すことが近道です。市販の目薬で様子を見続けるより、一度眼科で検査を受けてください。

近視・遠視・乱視・老眼

ピントの合い方の違いを屈折の異常といいます。近視は遠くがぼやけ、遠視は遠くも近くもピントを合わせる力が余分に必要になるため疲れやすく、子どもの強い遠視は弱視の原因にもなります。乱視は、ものが二重にぶれて見える状態です。老眼は年齢とともにピントを合わせる力が弱まるもので、40代ごろから手元が見えにくくなります(眼鏡の選び方は老眼鏡と遠近両用、どう選ぶ?で紹介しています)。子どもの近視については、屋外活動(1日2時間程度)が発症の予防に役立つという報告が多いとされています。眼鏡やコンタクトレンズを作る前に、病気がないかを眼科で確かめておくと安心です。

気になる症状があるときは

病名がわからなくても、受診してかまいません。いつから、どちらの目に、どんな見え方の変化があるのかをメモして眼科に持って行けば、それだけで十分な手がかりになります。どこに相談すればよいか迷う人は目の悩み、どこに相談する?を、主な目の病気の解説をほかの資料でも読みたい人は日本眼科学会のサイトを確認してください。このページは入口にすぎません。不安なまま調べ続けるより、眼科で検査を受けて医師の説明を聞くほうが、ずっと早く安心につながります。