目の健康診断ガイド:3歳児健診から特定健診まで

最終確認

朝の光が差し込む学校の保健室。ついたてと窓辺の小さな鉢植え、整えられたベッドが見える

健康診断は、生まれてから年を重ねるまで、人生の節目ごとに用意されています。ただ、目について調べる内容は健診ごとにかなり違います。視力を測るだけの健診もあれば、眼底の写真まで撮る健診もあり、「健診で何も言われなかったから目は大丈夫」とは言い切れません。

このページでは、子どもから大人までの主な健診で、目の何がわかって何がわからないのかを整理しました。健診は病気の手がかりを見つけるためのもので、診断をつける場ではありません。結果で気になる点があったときや、健診とは関係なく見え方に不安があるときは、眼科を受診してください。

健診ごとの目の検査

まず全体を表で見渡します。実際の内容は、自治体や学校、勤め先、健診機関によって異なるため、手元の案内や結果票もあわせて確認してください。

健診 主な対象 目に関する主な検査 気をつけたい点
3歳児健診 3歳ごろの子ども 家庭での視力検査、問診、会場での屈折検査(導入する自治体が増えている) 家庭でうまく測れなかったら、そのまま健診で伝える
就学時健康診断 小学校入学前の子ども 視力検査 結果の用紙に受診を勧める記載があれば眼科へ
学校の健康診断 児童・生徒 視力検査(A〜Dの判定)、目の病気や異常の有無の検診 B以下の判定は放っておかない
職場の定期健康診断 働く人 視力検査 眼圧や眼底の検査は含まれないことが多い
特定健診 40〜74歳の医療保険の加入者 眼底検査(医師が必要と認めた場合の詳細な項目) 全員が受けるわけではない
人間ドック 希望する人 眼底写真、眼圧、視力など(コースによる) 視野の検査はふつう含まれない

表を見るとわかるとおり、多くの大人が毎年受けている職場の健診では、目については視力くらいしか調べていないことが少なくありません。

3歳児健診の視覚検査

3歳児健診の目の検査は、多くの自治体で二段構えになっています。

ひとつは家庭での視力検査です。健診の前に、絵や輪の切れ目の向きを答える検査の用紙などが届き、片目ずつ隠して見えるかどうかを家で確かめます。3歳の子どもは検査に慣れていないので、嫌がったり、途中で飽きたりするのはよくあることです。うまくできなかったときは、無理に「できた」ことにせず、そのまま健診の場で伝えてください。片目を隠したとたんに嫌がる場合、隠していない側の目が見えにくい可能性もあります。

もうひとつは、健診会場での屈折検査です。専用の機器の方を子どもに見てもらうだけで、ピントのずれ(屈折の異常)や左右差などを短時間で調べられます。令和4年度(2022年度)からは、国が母子保健対策強化事業として、自治体がこうした屈折検査の機器を導入する費用を補助しています。実施の有無や方法は自治体によって異なるため、お住まいの地域の案内を確認してください。国の母子保健の施策はこども家庭庁のサイトで公開されています。

健診で目を調べる大きな理由は、弱視を早く見つけることにあります。弱視は子どものおよそ50人に1人(約2%)とされ、視力の発達は6〜8歳ごろまでがとくに大切です。この時期に見つかれば、眼鏡などの治療で見る力を育てやすくなります。家庭でできることは3歳児健診の目の検査のコラムでくわしく書いています。

就学時健診と学校の視力検査

小学校に入る前には就学時健康診断があり、視力検査も行われます。入学後は、毎年の学校の健康診断で視力を測ります。

学校の視力検査では、細かい数字ではなく、A〜Dの4段階で結果が伝えられることが一般的です。おおよその目安は次のとおりです。

  • A(1.0以上):教室の後ろの席からでも、黒板の字が見える程度
  • B(0.7以上1.0未満):後ろの席では、小さな字が見えにくいことがある程度
  • C(0.3以上0.7未満):前の方の席でも、小さな字が見えにくいことがある程度
  • D(0.3未満):前の席でも、眼鏡などがないとはっきり見えにくい程度

B以下の判定だと、眼科の受診を勧める用紙を持ち帰ることが多いでしょう。本人が「見えている」と言っても、一度は眼科で調べてください。視力が下がる理由は近視とは限らず、遠視や乱視、まれに目の病気が隠れていることもあります。眼鏡が必要かどうか、どの度数がよいかも、眼科で検査を受けてから決めるのが安心です。

なお、学校によっては、希望する児童・生徒に色覚の検査を案内していることがあります。色の見え方について気になることがあれば、学校からの案内を確かめたうえで、眼科で相談してください。

職場の定期健康診断

働く人が毎年受ける定期健康診断には、視力の検査が含まれています。一方で、眼圧や眼底の検査は含まれないことが多いのが実情です。

視力の検査でわかるのは、決まった距離で小さな字や記号が見えるかどうかです。緑内障のように視野が少しずつ欠けていく病気では、かなり進むまで視力が保たれることがあり、視力検査の結果が良くても安心はできません。片方の目の視野が欠けていても、ふだんは両目で見ているため、もう片方の目が補って気づきにくいこともあります。

特定健診の眼底検査

40〜74歳の医療保険の加入者が対象の特定健診(いわゆるメタボ健診)では、眼底検査は「詳細な健診」の項目に入っています。血圧や血糖の結果などから、医師が必要と認めた場合に行われるもので、受診者全員が受けるわけではありません。

健診での眼底検査は、主に高血圧や動脈硬化、糖尿病による網膜の血管の変化を見るために行われます。受けていない年があっても、それは基準に当てはまらなかったという意味で、目に病気がないという意味ではない点に注意してください。高血圧や糖尿病を指摘されているのに眼底を一度も調べたことがない人は、健診とは別に眼科で相談しておくと安心です。

人間ドックの眼底写真と眼圧

人間ドックでは、コースによって眼底写真や眼圧の検査が含まれます。眼底写真では網膜や血管、視神経の出口(視神経乳頭)の様子がわかり、結果票に「視神経乳頭陥凹拡大」と書かれていれば、緑内障の可能性を調べるために眼科での精密検査が勧められます。

眼圧が正常の範囲でも緑内障が起こることはあり、眼圧の数字だけでは判断できません。また、視野の検査はふつう人間ドックには含まれていません。ドックの結果は手がかりの一つとして受け止め、気になる所見があれば眼科で確かめてください。これからドックを申し込む人は、眼底写真や眼圧の検査が含まれるかどうかを、コースの案内で先に確認しておくとよいでしょう。

40歳を過ぎたら、一度は眼科で

日本緑内障学会の多治見スタディでは、40歳以上の約5%に緑内障があり、そのうち約9割は自分が緑内障だと気づいていなかったと報告されています。緑内障についての一般向けの情報は、日本緑内障学会のサイトでも公開されています。

健診の視力検査だけでは、この「気づいていない」状態を見つけるのは難しいのが現実です。40歳を過ぎたら、症状がなくても一度は眼科で、眼圧や眼底などの検査を受けてみてください。そのあとどのくらいの間隔で検査を受けるかは、結果を見て医師と相談します。緑内障と40歳からの検査のコラムもあわせてどうぞ。

糖尿病のある人

糖尿病のある人は、症状がなくても定期的な眼底検査が勧められます。糖尿病網膜症は、かなり進むまで自覚症状が出にくい病気だからです。内科で血糖を管理していても、目の状態は眼底を見なければわかりません。職場の健診や特定健診とは別に、眼科で定期的に検査を受けてください。検査を続ける理由は糖尿病と目のコラムにまとめています。

結果票の言葉の目安

結果票の書き方は健診機関によって違いますが、判定にはおおむね次のような言葉が使われます。

判定の言葉 おおよその意味
異常なし 今回の検査の範囲では、目立った所見がなかった
要経過観察 すぐに治療が必要な状態ではないが、次の健診や一定の期間をおいて確かめたい
要精密検査 医療機関で、よりくわしい検査を受ける必要がある
要治療・要受診 医療機関を受診して、治療が必要かどうか判断を受ける必要がある

「要経過観察」は、何もしなくてよいという意味ではありません。次の健診で同じ項目を必ず確かめ、そのあいだに見え方の変化があれば、待たずに眼科へ行ってください。

「要精密検査」と書かれていたら

見え方は普段どおりなのに、受診は必要ですか

必要です。健診で指摘される目の所見の多くは、自覚症状が出る前の段階のものです。症状がないことは、受診しなくてよい理由にはなりません。

どこで、何を持って受ければよいですか

眼科で受けます。健診の結果票を持参すると、どの検査で何を指摘されたのかが医師に正確に伝わります。前の年の結果もあれば一緒に持って行くと、変化を比べられます。近くの眼科の探し方は眼科の探し方と受診ガイドで紹介しています。

前にも同じ所見があって、そのときは問題ないと言われました

それでも、今回の結果を自分で判断するのはやめておきましょう。前回の検査で問題がなかったことを伝えたうえで、受診するかどうかを含めて眼科で相談してください。

健診は、年に一度、目の状態を振り返るきっかけです。結果票を引き出しにしまう前に、目の欄をひと目確かめてください。結果に関係なく、見えにくさやゆがみ、視野の欠けなどに気づいたときは、次の健診を待たずに眼科を受診してください。