
洗剤がはねて目に入った。子どもの指が目に当たった。朝起きたら、片方の目だけ急にかすんでいる。目のトラブルはたいてい前ぶれなく起こり、救急車を呼ぶべきか、明日まで待ってよいのか、その場で迷う人は少なくありません。
このページでは、症状ごとの急ぎ具合の目安と、受診するまでの応急手当をまとめています。書いてあるのは一般的な目安で、診断の代わりにはなりません。迷ったときは急ぐ側を選び、眼科を受診してください。
急ぎ具合の目安
よくある症状を、おおまかに3段階に分けました。同じ出来事でも、痛みが強い、見え方がはっきり悪くなっている、といったときは一段上の段階と考えてください。
| 急ぎ具合 | 主な症状や出来事 |
|---|---|
| 今すぐ救急・119 | 薬品が目に入った(まず流水で15分以上洗ってから、すぐ受診)、物が目に刺さった、強くぶつけて目が開けられない・ほとんど見えない、片目または両目が急に見えなくなった、視野が大きく欠けた、急な強い目の痛みとかすみに頭痛や吐き気を伴う、見え方の異常とともに顔のゆがみや手足のしびれ、ろれつが回らないなどの症状がある |
| 今日中に眼科 | 光が走るように見える、黒い点や糸くずのようなものが急に増えた、視野の端に影がかかる、ボールなどが当たったあとにかすむ・二重に見える・まぶしい、異物感がいつまでも取れない、金属を削る作業や草刈りの最中に何かが飛んできた、コンタクトレンズを外しても強い痛みや充血が続く、数時間から数日のうちに見え方が急に変わった |
| 数日以内に眼科 | 充血やめやにはあるが見え方は普段どおり、かゆみ、まぶたの腫れやしこり、目の乾きや疲れが続く |
「今すぐ」の段は、夜間でも休日でも、ためらわずに救急外来へ向かう段階です。ひとりで向かうのが難しいとき、目以外の体の症状もあるときは119番に電話してください。片目が見えにくい状態で自分で車を運転して向かうのは避けます。
「数日以内」の段も、様子を見てよいという意味ではありません。悪くなる、痛みが出る、見え方が変わる、といった変化があれば、その時点で一段上に引き上げて考えます。
薬品が入ったとき
洗剤、漂白剤、カビ取り剤、セメントや石灰、園芸用の薬剤などが目に入ったら、何よりも先に洗います。こすらずに、すぐに大量の流水で15分以上洗ってください。洗面台の蛇口やシャワーを弱い水流にして、指でまぶたを開き、目の表面全体に水が行き渡るようにします。15分は思った以上に長いので、時計を見ながら続けると確実です。
アルカリ性の薬品は、目の奥まで傷めやすいとされています。しみなくなったから大丈夫、とは限りません。洗い終えたら、すぐに受診してください。
- コンタクトレンズをつけていて、簡単に外せるなら外し、そのまま洗い続けます。外れないときに無理をする必要はありません。
- 中和しようとして、別の薬品や目薬で洗うのはやめます。使うのは水です。
- 原因になった製品の容器やラベルを持って行くか、スマートフォンで撮っておくと、何が入ったのかを正確に伝えられます。
ぶつけたとき、刺さったとき
ボール、ひじ、木の枝、子どものおもちゃ。目のけがは、日常のちょっとした場面で起こります。まぶたのまわりが腫れているときは、清潔なタオルで包んだ保冷剤などを軽く当てて冷やしますが、目そのものを押さえつけないようにします。
何かが目に刺さっている場合は、抜かずにそのまま救急へ向かいます。抜いた瞬間に傷が広がることがあるためです。紙コップなどを目の上にかぶせて、刺さった物やまぶたに触れないように覆う方法が知られています。
見た目には軽そうでも、ぶつけたあとにかすむ、ものが二重に見える、光がまぶしい、といった症状があれば、その日のうちに眼科を受診してください。目の奥の出血や、目のまわりの骨の骨折が隠れていることがあります。
異物が入ったとき
砂やほこり、まつげなどは、まばたきや涙で自然に流れ出ることも多いものです。こすらずに何度かまばたきをし、それでもごろごろするなら、清潔な水で洗い流してみます。
洗っても異物感が取れない、痛みが続く、という場合は今日中に眼科へ。金属を削る作業や草刈り機を使っている最中に飛んできたものは、小さくても目に刺さっていることがあるため、症状が軽くても当日に受診してください。
コンタクトレンズを使っている人は、まずレンズを外します。外しても痛みや充血が引かないときは、使っていたレンズとケースを持って受診すると、原因を探す手がかりになります。
見え方が急に変わったとき
けがや薬品のように原因がはっきりしていなくても、急いで受診したい見え方の変化があります。
- 光が走るように見える(光視症)、黒い点や糸くずのようなものが急に増えた、視野の一部が欠ける、カーテンがかかったように見える。網膜剥離のサインのことがあり、早めの受診が必要です。痛みがないことが多いため、つい様子を見てしまいがちです。くわしくは飛蚊症と網膜剥離のコラムにまとめています。
- 急に強い目の痛みが出て、かすんで見え、頭痛や吐き気を伴う。急性緑内障発作のことがあり、すぐに受診が必要です。頭痛や吐き気が目立つと、目が原因だと気づきにくいことがあります。
- 片目が急に見えなくなる、視野が欠ける。目の中の血管が詰まる病気のほか、脳の血管の病気が関わっていることもあります。顔の片側がゆがむ、片側の手足に力が入らない、言葉が出にくいといった症状が一緒にあれば、迷わず119番に電話してください。数分で見え方が戻った場合も、そのままにせず、その日のうちに医療機関に相談します。
どれも、時間がたつほど治療の選択肢が狭まることのある症状です。夜中だから、休みの日だから、と翌日まで待たないようにしてください。
子どもや高齢の家族のとき
小さな子どもは、何が起きたのかをうまく言葉にできません。目をしきりに気にする、片目をつぶったままでいる、まぶしがる、いつまでも泣きやまない、といった様子があれば、目のトラブルを疑います。薬品が入ったときに子どもの目を洗うのは、大人ひとりでは難しいものです。ひとりが体と頭を支え、もうひとりがまぶたを開いて水を流すと、15分続けやすくなります。
高齢の家族の場合は、急に見えにくくなっても「年のせいだろう」と本人が話さないことがあります。新聞の字が急に読めなくなった、片側の物によくぶつかる、といった変化に周りが気づいたら、一緒に眼科へ行くきっかけにしてください。
受診までにしないこと
応急手当でいちばん多い失敗は、よかれと思ってしたことが傷を広げてしまうことです。次のことは避けてください。
- 目をこすらない。異物や薬品が目の表面をさらに傷つけます。
- 手元にある目薬を、自己判断で使い続けない。家族の目薬や以前もらった目薬も同じです。原因がわからないまま使うと、症状が見えにくくなったり、かえって悪くなったりすることがあります。
- 刺さった物は抜かない。
- 目を強く押さない。眼帯やガーゼできつく押さえつけるのも避けます。
- 水以外の液体で洗わない。
迷ったら #7119、命に関わるときは119
受診すべきかどうか自分で決められないときは、電話で相談できる窓口があります。京都府では、救急安心センターきょうと(#7119)が2020年10月に始まりました。24時間365日、看護師などが電話で話を聞き、受診が必要かどうかや、受診できる医療機関を案内しています。IP電話などで #7119 につながらない場合は 0570-00-7119 にかけます。くわしい案内は京都府の#7119のページにあります。
電話相談は、あくまで判断の手助けです。意識がおかしい、呼吸が苦しい、大きなけがをしたなど、命に関わると感じたときは、迷わず119番に電話してください。京都府の外にお住まいの方は、地域によって相談窓口の番号や仕組みが異なるため、元気なうちに一度調べておくと安心です。
夜間や休日に起きたら
「今すぐ」「今日中」の段に当てはまる症状なら、平日の朝まで待たずに受診先を探します。救急外来のある病院でも、眼科の医師が夜間はいないことがあるため、向かう前に電話で確認できると確実です。どこに電話すればよいかわからないときに、#7119 が役に立ちます。
連休や年末年始は、ふだん通っている眼科が長く休みになります。そうした時期の考え方は連休・年末年始に目のトラブルが起きたらにまとめました。近くの眼科の場所や受付時間を、何もないうちに確かめておく方法は眼科の探し方と受診ガイドで紹介しています。
受診のときに伝えること
あわてていると、説明が前後してしまうものです。次の点をメモにしておくか、付き添いの人に伝えておくと、受診がスムーズになります。
- いつ:何時ごろ起きたか、症状がいつから続いているか
- 何が:入った薬品の名前、ぶつかった物、していた作業
- どちらの目か:右、左、両方
- 今の症状:痛み、見え方、光が走る・黒い点が増えたなどの変化
- したこと:何分ほど洗ったか、目薬を使ったか
- ふだんのこと:持病、飲んでいる薬、目の手術を受けたことがあるか、コンタクトレンズを使っているか
ほかの目の病気について知りたいときは、目の病気の解説も参考になります。
目の症状には、時間との勝負になるものと、落ち着いて受診すればよいものがあります。その区別を自分だけでつけるのは難しいことです。迷ったら電話相談を使い、気になる症状があれば、早めに眼科で診てもらってください。