
目の調子がおかしいと感じても、どこの眼科へ行けばよいのか分からず、なんとなく先延ばしにしてしまう。引っ越してきたばかりで、近所の眼科をまだ知らない。親の付き添いで、初めて眼科を探すことになった。このページは、そんな場面を思い浮かべながら書いています。
ここで扱うのは、特定の医療機関の案内ではありません。眼科を選ぶときの考え方と、受診までに知っておくと迷わずにすむしくみを、京都府内の暮らしに引きつけて整理しました。いま気になる症状があるなら、読み終えるのを待たずに、まず近くの眼科に相談してください。
かかりつけの眼科があると、何が変わるのか
かかりつけ医というと内科を思い浮かべる人が多いかもしれません。けれども目についても、「いつもここで診てもらう」と決めた眼科があると、ずいぶん心強いものです。
理由のひとつは、目の病気の多くが「前回と比べてどう変わったか」で判断されることにあります。緑内障なら視野や眼圧、視神経の状態を、糖尿病のある人なら眼底の様子を、年単位で追いかけていきます。同じ眼科で検査を重ねていれば、過去の記録と並べて、小さな変化にも気づいてもらいやすくなります。
もうひとつは、相談のしやすさです。目薬が合っていない気がする、メガネを作り替えたい、最近やけにまぶしい。こうした小さな困りごとを気軽に話せる相手がいると、受診そのものへの腰の重さが変わります。急に見え方がおかしくなったときにも、ふだんの目の状態を知っている眼科へ連絡できるのは安心です。
選ぶときの目安は、それほど難しく考えなくてかまいません。
- 無理なく通える距離にあるか
- 受付の時間帯が、自分の生活の時間と重なるか
- 説明を聞いて、納得できたと感じられるか
評判だけで決めるより、一度かかってみて「ここなら続けて通えそうか」を自分の感覚で確かめるほうが現実的です。
眼鏡店での視力測定と、眼科の検査は別のもの
「メガネ屋さんで視力を測ってもらったから、眼科はまだいい」と考える人は少なくありません。けれども、両者は目的が違います。
眼鏡店での測定は、メガネやコンタクトの度数を合わせるためのものです。一方、眼科では、見えにくさの原因が度数のずれなのか、それとも白内障や緑内障、網膜の病気などが隠れているのかを調べます。度数を合わせても視力が出ないとき、片方の目だけ急に見え方が変わったとき、ゆがんで見えるときは、度数の問題ではない可能性があります。
久しぶりにメガネを作り替えるときや、見え方の変化に心当たりがないときは、先に眼科で目の状態を確かめておくと安心です。眼科で検査を受け、メガネの処方箋を書いてもらってから眼鏡店で作るという方法もあります。
診療所と病院の違い、紹介状のしくみ
眼科には、街なかの診療所(クリニックや医院)と、総合病院や大学病院の眼科があります。どちらが上ということではなく、受け持つ役割が違います。
| 比べる点 | 街の眼科診療所 | 病院の眼科 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 日常の目の不調、定期的な検査、メガネやコンタクトの相談。日帰り手術を行うところもある | 専門的な検査や手術、入院が必要な治療、ほかの診療科と連携した治療 |
| かかり方 | 直接受診できることが多い | 紹介状を持って受診するのが基本 |
| 待ち時間 | 曜日や時間帯で大きく変わる | 予約をしていても長くなることがある |
一般的な流れは、まず近くの眼科で診てもらい、詳しい検査や手術が必要と判断されたときに病院を紹介してもらう、というものです。紹介状(正式には診療情報提供書)には、それまでの検査結果や経過、紹介の理由が書かれていて、紹介先の医師は事情をつかんだうえで診察を始めることができます。
紹介状を持たずに大きな病院へ行くと
紹介状なしで一定以上の規模の大きな病院を受診すると、ふだんの窓口負担とは別に「特別の料金」(選定療養費)を求められることがあります。病院と診療所の役割分担を進めるための国のしくみで、対象になる病院や料金は、それぞれの病院がホームページや院内の掲示で知らせています。救急で受診した場合など、かからないこともあります。
費用の問題だけではありません。紹介状がないと、ほかで済ませた検査を一からやり直すことになりがちで、時間も体力も余計にかかります。病院での治療を考えているときでも、まずは近くの眼科医に相談し、必要に応じて紹介してもらうほうが、結果として早く進むことが多いのです。
医療情報ネット(ナビイ)で近くの眼科を調べる
近くにどんな眼科があるのかを調べるには、厚生労働省の「医療情報ネット(ナビイ)」が使えます。全国の病院や診療所を、たとえば次のような条件で絞り込めます。
- 住所や現在地からの近さ
- 診療科(眼科など)
- 診療日や時間帯(土曜日、夕方以降など)
- 医療機関が報告している、対応できる治療の内容
- 駐車場や車いすでの利用、外国語での対応といった情報
ここに載っているのは、医療機関が都道府県に報告した内容です。更新の時期によっては、実際の受付時間や休診日と違っていることもあります。候補が見つかったら、最終的には医療機関のホームページや電話で確かめてください。地図アプリの口コミは雰囲気をつかむ程度にとどめ、受付時間などの情報はうのみにしないほうが安全です。
京都府内でも、住む場所で通院の事情は変わります
京都府は南北に長く、同じ府内でも眼科へのかかり方はかなり違います。
京都市内
眼科が比較的多く、通いやすい場所を選びやすい地域です。そのぶん、どこにするかで迷う人もいるでしょう。職場の近くにするか、自宅の近くにするかで、続けやすさは大きく変わります。定期的に通うことを考えるなら、体調のすぐれない日でも行ける自宅の近くが向いていることが多いようです。観光の季節には道路やバスが混み合い、思ったより移動に時間がかかることもあるので、予約の時刻には余裕を持たせておきましょう。
北部(丹後・中丹)
住んでいる場所によっては、いちばん近い眼科まで車でかなり走らなければならないこともあります。冬の雪道、瞳を開く検査をした日の帰り道、定期通院の続け方など、距離があるからこそ必要になる工夫があります。くわしくは「通院に時間がかかる地域での眼科との付き合い方」にまとめました。
南部(山城地域)
宇治市や京田辺市、木津川市などから京都市内や大阪へ通勤している人にとっては、平日の昼間に地元の眼科へ行く時間をつくること自体が難しい場合があります。夕方以降の受付や土曜日、予約のしくみをどう使うかは「働く世代の眼科受診:平日夜・土曜・予約の使い方」で取り上げています。
受診の前に、電話で確かめておきたいこと
初めての眼科にかかる前には、一度電話を入れておくと当日の行き違いを防げます。ホームページに書かれていても、臨時の変更が入っていることがあるからです。
- 初めての受診(初診)は、何時まで受け付けているか
- 予約が必要か、来た順番に診てもらう方式か
- 瞳を開く目薬を使う検査(散瞳検査)をする可能性があるか、その日は車で来てよいか
- コンタクトレンズの検査や処方を受け付けているか、つけたまま行くべきか
- 子どもを診てもらえるか
- 駐車場があるか
- 支払いにどんな方法が使えるか
症状を伝えるときは、「いつから」「どちらの目が」「どんなふうに」の三つを短く話すと、受付の人も状況をつかみやすくなります。急いで診てもらったほうがよいかどうか、電話の段階で教えてもらえることもあります。
受診ガイドの各ページ
このガイドは、次のページとつながっています。気になるところから読んでみてください。
- 眼科の診療時間表の読み方:午前・午後・夜診の区切り、受付終了の時刻、記号や休診日の見方など、時間表で見落としやすい点を例の表を使って整理しています。
- 初めての眼科:受診当日の流れと持ち物:受付から視力検査、眼圧検査、瞳を開く検査までの流れと、当日の持ち物です。子どもを連れて行くときのコツも載せました。
- 連休・年末年始に目のトラブルが起きたら:長い休みの前にしておきたい準備と、休み中に困ったときの調べ方、#7119と119番の使い分けを紹介しています。
- 通院に時間がかかる地域での眼科との付き合い方:京都府北部などを例に、雪の季節や散瞳検査の日の移動、定期通院を途切れさせない工夫を考えます。
- 働く世代の眼科受診:平日夜・土曜・予約の使い方:仕事を続けながら眼科とつながるための時間の使い方と、40歳を過ぎたら一度受けておきたい検査の話です。
急な症状が出たときの対応は「目の救急:すぐ受診したい症状と応急手当」に、主な目の病気のあらましは「目の病気の解説」にまとめています。
どこにするか決めきれないときは
完璧な一軒を探そうとすると、なかなか決まりません。まずは通いやすい眼科に一度かかり、説明の分かりやすさや待ち時間を自分で確かめてから、続けるかどうかを考えれば十分です。
ただし、急に見えにくくなった、視野の一部が欠けて見える、目に強い痛みがある、といった症状があるときは、眼科選びに時間をかけている場合ではありません。その日のうちに受診してください。夜間や休日で迷うときは、電話で相談できる窓口もあります。くわしくは連休のページと救急のページで紹介しています。